Yoichi Wyeth Suzuki Blog / 鈴木よういちの日々とか。
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 先月、Daytonaの取材前に橋梁関係の書籍を何冊か読んでいたけど、その中でも明石海峡大橋について現場監督的な位置で建設に携わっていた古谷さんという方のこの本が面白かったのでご紹介。


世界最大橋に挑む - 明石海峡大橋を支えるテクノロジー / 古屋 信明


 全長3,911m、中央支間1,991mで世界最長の吊り橋である明石海峡大橋…別名パールブリッジ。

橋は空間の叙事詩である。両岸を結びたいという素朴な願いに捧げられた人間の善意と意志、虚空に作用する荷重を遠く離れたところにまで伝えるという橋の構造上の本質を満足させるための、知恵と行為が空間に結晶している。

それがまして、大きな吊橋ともなれば…
 
 なんていうようなタッチで、世界最大の吊り橋を描く。



 非常に面白いなぁと思ったのが、明石大橋がもし東京にあったら…という部分。


大きな地図で見る


 以下本編より。

この橋の大きさを理解するために、たとえば東京にもってきたとしてみよう。

一方の主塔位置を東京駅とすれば、他方は秋葉原駅である。それぞれの上に、東京タワーより一割程度低い主塔(※横浜ランドマークタワーとほぼ同じ高さ)を立てる。より正確には、約100階建て・4LDK(塔基部)または3LDK(塔頂部)のペンシルマンションを二棟、およそ40m離して建てる。

ケーブルを固定するアンカレイジは、5000平方メートル・13階建てのビルとなるが、有楽町駅の少し南と、御徒町駅に置くことになる。下部工は全部で四基あるが、そのコンクリートは東京ドームで測ってほぼ一杯。基礎は最深で地下15階にもおよぶ。

そして東京湾岸道路並みの路面(六車線)を、山手線の真上・13階から24階建てビルの屋上に相当する高さに走らせる。

そんな空間規模に比べれば、耐荷力の根源のケーブルは不釣り合いに細く、直径わずか112cmのものが二本。しかし一本あたりの破断強度は約145,000トン、およそ1450機のジャンボの離陸時エンジン推力と綱引きができる。

というようなことになり、大きすぎてご免なさい。

海は広いからそうは感じないが、やはり街なかにもってこられるような規模の建造物ではないのである。
 


 有楽町から御徒町まである海面上をわずか2つの主塔と2つのケーブルで渡すって、ホントすごいよなぁと。

 東京にいると同じ吊り橋であるレインボーブリッジでも大きいと思えるけど、その5倍もあるんだもんね。

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 (私は橋梁以外にも航空マニアだったりもするけど)この本を読むまで、橋の設計に迎角横風の計算が不可欠だとはまったく予想だにしなかった。
 また架橋時のメインケーブルも、曲がったり捻ったりしないよう磁性を用いて…つまりカセットテープと同じ原理で精確に渡したんだとか。

 分野は違えど技術って色々つながってるんだなぁ…と心底感心。


 というわけで今もっとも観に行きたい橋のひとつ、明石海峡大橋!w

 淡路島のハモや玉ねぎが旬を迎える時期にでも、行ってみたいなぁ。


最後にもひとつ引用。

吊り橋というものは一国の技術力の証だけではなく、同時に工業力・経済力(民度と言い換えてもよい)の象徴でもある。今日、自国の力だけで吊り橋を建設できる、いわば「吊橋クラブ」の会員は日本・アメリカ・イギリスぐらいのものであって、「核兵器クラブ」より少ないのである。ほかにニ、三(ドイツ・フランスあたり)の潜在力を有する国はあるものの、地形などの条件から長大吊橋の実力を実証していない。

今の日本がそのような国であるということは、地震国であることを割り引いても、皆さんとともに祝うに値する。 
 


 橋梁マニアの方はぜひご一読を。w




Yoichi


 P.S.
 ネット上にも、氏のページありましたね。

 「橋と半生」 古屋 信明
 http://www.mane-ana.co.jp/chiba43/furuya9811.html















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